「天使を踏むを畏れるところ 上」 松家仁之著
以前読んだ同じ著者の「火山のふもとで」読書日記#68 - Marron_Creamのブログが面白かったので、図書館で予約し読んでみました。単行本で約550ページで文字も小さめ、会話が少ない文章が続くため、2週間の借りた期間で読み切れるか不安でしたが、コツコツ読み進め、読了できました。
「火山のふもとで」の主人公が年若な頃の物語。今回読んだ上巻では、他にも主人公として2人の人物の視点から話が進行していきます。
「火山のふもとで」と比べると、より建築関連の描写が細かく専門的になっていることや戦後の役所、さらには皇室の状況を事細かに伝えている印象でした。私自身が、建築に親和性がある仕事のためか、戦後の建築関連の動向や行政の仕事の様子はとても興味深く読めました。一方で、少し専門的過ぎないかな?という説明が長くあるなど、あらゆる方にフレンドリーとは言い難くも感じました。
今回の作品では幾分少なめでしたが、主人公たちの家庭内のエピソードや会話は、読みやすく、それぞれの人柄が滲み出る様子が良かったです。もう少し、こうした描写が増えると読みやすいかなと素人ながら思いました。
あと、「火山のふもとで」よりも、主人公が発する言葉で、心に残る言葉が少なかったかもしれません。これはきっと主人公自体が年若でまさに経験途中だからかなと解釈しています。
こうして感想を書いてみると少しマイナス目線になってしまいましたが、読んでいると心穏やかになり、大切に読んでいきたいと思える貴重な文章です。豊富な知識量、調査量には脱帽しますし、静かな時間が流れていて好きな作家さんに変わりはありません。
同じく予約した下巻が図書館から届くのは、まだ1ヶ月以上先になりそうです。今から、大ボリュームに戦々恐々としつつも、続きが楽しみです。
