「「会社を辞めて幸せな人」が辞める前に考えていること」木下紫乃著
日経BPのメールマガジンで、本作の紹介がされていて、気になり読んでみました。
著者であるスナックママとの対談形式で、40代・50代のミドルエイジの男女それぞれが「会社を辞める」「会社を辞めない」を決断するまで、した後、そしてそれに対する著者の思いが書かれています。
今でこそ、転職は珍しいことではなく、今年の厚生労働省の統計によれば21年新卒の3年以内離職率は34.9%(新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します|厚生労働省)だそうです。飲食業や宿泊業、生活関連サービス業などに至っては50%以上とのこと。もはや”石の上にも3年”的な話は時代遅れなのかもしれません。
”会社に自分を合わせていく”のではなくて、”自分のやりたいことを実現するのに会社を利用する”、転職した会社が合わなくてもその経験に価値があり、その転職が最後の会社なんて思わなくていい、これはまさにその通り。
私自身、仕事で接する様々な会社の50代以上の方と話すと、最近20代の転職が増えていて、彼ら彼女らは”もうこの会社で十分学べたので、次のステージに行きたいんです”と語る人が多いそう。たった3年で何がわかるんだ?と若干の憤りを持って語られていたけれど、私はいわゆるZ世代ではないですが、転職する若者の気持ちがよくわかります。
私自身も数回転職をしてキャリアをアップデートしてきました。一つの会社に勤め上げるのもいいけれど、いろいろな会社でバックボーンの違う人とカルチャーショックを受けるのは良い刺激になりました。
本作の中で、”「会社との付き合い方」を見直すために、3つの場所を持とう”とありました。
1)ライスワークの場(与えられた役割を果たす場、生活の糧、定期収入を得る)
2)ライフワークの場(興味があることをやる場、すぐにお金にならなくても、自分が学びたいことを活かせそうな場)
3)ライクワークの場(好きなことをやる場、お金にならなくてもいい、好きなこと、好きな人で集まる場)
”この3つの境目が溶けてくる生き方が一番楽しい”と著者は語ります。”特に40代以降は、自分の気持ちに向き合って、楽しいことをやる。「自分がやりたいこと」をやる練習を早くしていったほうがいい。”この言葉は胸に刺さりました。。
著者の木下紫乃さんは、本作ではスナックママとして語りがけされていますが、ミドルシニアのキャリア支援事業会社CEOとのことで、3000人以上の人生相談を聞かれてきたそうです。本作で登場する方たちのお悩みを決して否定せず、ポジティブに受け止めつつも、はっきりと言葉を紡がれていて、そのお人柄の良さが推察されました。
キャリアに悩んでいる方も何となくモヤモヤしている方も、そして現在居心地がいいなと感じている人にもお勧めの一冊です。